禅僧のおことば 20
過去の自分を慈しんでいますか?
人間はどんな人生を歩んでも、一つや二つの後悔はあるものなのです。まったく微塵も後悔がない、という人を、私は見たことがありません。しかし、必要以上にあれこれと振り返っては後悔している人もいます。そういう人には共通点があります。
それは、過去の自分を慈しんでいない、ということです。過去の自分を心から受け止めて褒めてあげることです。生きていれば後悔はつきものですが、かつての自分の思いに後悔してはいけないと思います。
一生懸命に生きていたあの頃の自分を慈しんであげること。「それでよかったんだよ」と昔の自分に言ってあげることが何よりも大切なのです。
禅僧のおことば 19
自分が選んだ道を信じていますか?
人生は選択の連続です。ときに二股に分かれ、私たちはどの道を進むべきか考えなければなりません。それが悩みになります。
しかし、どちらの道を選んでも「どちらも同じようなもの」であると私は考えています。成功を収めた人たちは、どちらの道を選んでもおそらく成功していたでしょう。
ではどうして彼らが成功したのでしょうか。それは選んだ道が正しかったのではなく、選んだ道を一生懸命にひたすら歩いてきたからです。
自分の思いはどこにあるのか。どんな人生を歩んでいきたいのか。それを自問自答することです。その強ささえもっていれば、どんな道を歩もうが、それはきっとあなただけの幸福へとつながっているはずです。
禅僧のおことば 18
自分に合う仕事をさがしていませんか?
「自分にぴったりの仕事が見つからない」「もっと自分に合う仕事はないでしょうか」。
結論から言えば、自分にぴったりの仕事などどこにもありません。「ぴったりの仕事」とはどこかにあるものではなく、自分自身で「ぴったりの仕事」にしていくことが大事です。
大切なことは、仕事と向き合う心持ちです。自分はこの仕事には向いていない。そう思った瞬間に、その仕事はあなたに向かなくなります。
仕事に自分の人生を合わせる必要はない、ということです。自分の人生を軸にして、それに仕事を合わせていくことなのです。
禅僧のおことば 17
視野が狭くなっていませんか?
私たちは仕事をしていく中で、行き詰ることがあります。それは私たちの視野が狭くなっているからです。目の前にある問題にばかり目が行き、仕事の全体像が見えなくなっているのです。
そんなときには、行き詰ってしまっている部分から一旦目を逸らすことです。そして仕事の全体像をゆったりとした気持ちで見直します。その仕事は、最終的にはどのような完成形になるのか。もしかしたら無理をして解決しなくてもいいものではないか。もっと先に進んでいくうちに、自然と解決していくことではないか……。
もっと言うならば、目の前の仕事だけに縛られるのではなく、人生の全体像を眺めてみることです
禅僧のおことば 16
収入を得ることだけが仕事だと思っていませんか?
自分は何のために仕事をしているのだろう。そう自問自答したとき、お金を稼ぐためだという答えに辿り着く人が多いのではないでしょうか。
長い人生の中で仕事が占める割合はとても大きいものです。そんな大きな存在であるからこそ、仕事を単にお金を稼ぐためだけと思ってしまうのは、非常に寂しい発想のように思います。
今自分に与えられている役割を、しっかりとまっとうすることです。それは専業主婦の人も同じです。「キャリアを積むこと」=「お金を稼ぐこと」ではありません。
お給料は1か月もすれば消えてなくなります。しかし、必死になって自分の役割に向き合った時間は、自分の素晴らしい経験となって人生に積み重なっていくのです。
禅僧のおことば 15
大切な人とお金に対する価値観は同じですか?
お金に対する考え方は、その人の生き方とリンクしてくるものです。お金の価値観は人それぞれです。この違いやズレは、友人や恋人ならば笑って許せるかもしれませんが、結婚相手となればそうはいきません。
Aさんという女性は大恋愛の末に結婚しました。あるとき大きな災害が起こり、彼女は自分のお金から5万円を被災地に寄付したのです。
すると夫は「なんで5万円も寄付をするんだ。せいぜい1000円くらいでいいだろう」。夫には彼女の行為が理解できなかったのです。一年後、Aさんは結婚生活を終わらせました。
これは、どちらが悪いということではありません。生き方が違っていただけなのです。お金の使い方は、まさに生き方なのです。
禅僧のおことば 14
お金を貯めることばかり考えていませんか?
現代は不安感が蔓延している時代といえます。老後に不安を覚える人も多いでしょう。そんな中で、誰もが必死にお金を蓄えようとしています。
ではいったい、いくら蓄えれば安心なのでしょうか。そこに明確な答えはありません。目標に達すると、やっぱりそれでは足りないような気がして、再び貯めるばかりの生活になってしまいます。果たしてこれが豊かな生き方だといえるでしょうか。
大切なことは、自分の中で線引きをしておくこと。ここまでは貯めて、それ以上は誰かのためにお金を使おう、といった具合です。
自分のお金を自分のためだけに使うのではなく誰かのために使う。そんな心がけが、人と人とをつなぎ、お金が巡っていくのだと思います。